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【文部科学省】教職員等の選挙運動の禁止等について(通知)
教育人財開発機構 編集部 2021.10.20
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3文科初第1201号
令和3年10月15日
各都道府県知事
各都道府県教育委員会教育長
各指定都市・中核市市長
各指定都市教育委員会教育長 殿
文部科学事務次官
義本 博司
教職員等の選挙運動の禁止等について(通知)
衆議院議員の総選挙が近く行われる予定ですが、公務員は、全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではなく、公共の利益のために勤務すべき職責があり、その政治的中立性を確保するとともに、行政の公正な運営の確保を図る必要があることは言うまでもありません。
特に、教育公務員については、教育基本法等における教育の政治的中立性の原則に基づき、特定の政党の支持または反対のために政治的活動等をすることは禁止されています。さらに、教育公務員の職務と責任の特殊性により、教育公務員特例法において、公立学校の教育公務員の政治的行為の制限は、国家公務員の例によることとされ、人事院規則で定められた政治的行為が禁止されています。また、公職選挙法においても、選挙運動等について特別の定めがなされているところです。
なお、学校の内外を問わずその地位を利用して特定の政治的立場に立って児童生徒等に接することなどにより、その職の信用を傷つけ、学校教育に対する国民の信頼を損なうこととなる場合は、地方公務員法に基づき、信用失墜行為の禁止に抵触する可能性があります。
この度の選挙に当たっては、下記の事項に留意の上、教育公務員が個人としての立場で行うか職員団体等の活動として行うかを問わず、これらの規定に違反する行為や教育の政治的中立性を疑わしめる行為により、学校教育に対する国民の信頼を損なうことのないよう、その服務規律の確保について徹底をお願いします。
また、公立学校の教育公務員以外の職員および教育委員会事務局職員等については、地方公務員法および公職選挙法により政治的行為が制限されているところであり、公務員の政治的中立性を疑わしめる行為により、教育行政に対する国民の信頼を損なうことのないよう、その服務規律の確保について徹底をお願いします。
もとより、上記の制限に違反することは許されず、このような法令の遵守の徹底は任命権者および服務監督権者の責務であり、本通知の趣旨をすべての教職員等に周知するとともに、非違行為を行った者には、厳正な措置をとられるようお願いします。
さらに、教育委員会の教育長および委員についても、地方教育行政の組織および運営に関する法律および公職選挙法において、積極的に政治運動をすることおよびその地位を利用して選挙運動をすることは禁止されています。
以上の趣旨を貴部局および貴委員会内、所管の学校ならびに教職員に周知徹底くださいますようお願いします。また、都道府県認定こども園担当部局および都道府県教育委員会におかれては、域内の市町村(指定都市および中核市を除く。)認定こども園担当部局および市町村(指定都市を除く。)教育委員会に対し、以上の趣旨をそれぞれの部局および委員会内、所管の学校ならびに教職員に周知徹底し、服務規律を確保するよう御指導方よろしくお願いします。
記
1 地方公務員法及び教育公務員特例法関係
(1)地方公務員は、地方公務員法第36条により、一定の政治的行為の制限がなされていること。
(2)公立学校の教育公務員(公立学校の校長(園長を含む。)、副校長(副園長を含む。)、教頭、主幹教諭(幼保連携型認定こども園の主幹養護教諭及び主幹栄養教諭を含む。)、指導教諭、教諭、助教諭、養護教諭、養護助教諭、栄養教諭、主幹保育教諭、指導保育教諭、保育教諭、助保育教諭、講師、実習助手及び寄宿舎指導員)の政治的行為の制限については、教育が国民全体に直接責任を負って行われるべきものであり、一地方限りの利害にとどまらないという教育公務員の職務と責任の特殊性から、教育公務員特例法第18条により、国家公務員の例によるものとされていること。これにより、国家公務員法第102条及び同法に基づく人事院規則14-7に規定されている政治的行為の制限が適用されるものであること。
(3)したがって、公立学校の教育公務員について制限されている政治的行為は、公立学校の教育公務員以外の地方公務員について制限されている政治的行為とは異なるものであり、かつ、その制限の地域的範囲は勤務地域の内外を問わずに全国に及ぶものであること。
(4)本制限は、公務員としての身分を有する限り、勤務時間内外を問わず適用されるものであり(人事院規則14-7第6項第16号については勤務時間内に限られる。)、休暇、休職(いわゆる在籍専従も含む。)、育児休業、停職等により現実に職務に従事しない者にあっても異なる取扱いを受けるものではないこと。
(5)本制限に該当しない場合であっても、学校の内外を問わずその地位を利用して特定の政治的立場に立って児童生徒等に接することなどにより、その職の信用を傷つけ、学校教育に対する国民の信頼を損なうこととなる場合は、地方公務員法第33条に抵触する可能性があること。
2 公職選挙法関係
(1)公務員がその地位を利用して選挙運動をすることは全面的に禁止され、また、その地位を利用して候補者の推薦、後援団体の結成に参画するなどの行為も地位を利用した選挙運動とみなされること。(公職選挙法第136条の2)
(2)学校教育法等に規定する学校の長及び教員(以下「教員等」という。)は、学校の児童生徒等に対する教育上の地位を利用して選挙運動をすることが禁止されていること。(公職選挙法第137条)
(3)公務員であって衆議院議員総選挙においてその候補者となろうとするもので公職選挙法第239条の2第1項各号に掲げる行為をしたものは、事前運動の禁止に違反して選挙運動をした者とみなされること。
(4)(1)については公務員としての身分を有する限り、(2)については教員等である限り、勤務時間の内外を問わず適用されるものであり、休暇、休職(いわゆる在籍専従も含む。)、育児休業、停職等により現実に職務に従事しない者にあっても異なる取扱いを受けるものではないこと。
(5)選挙権を有する者の年齢は満18歳以上とされており、高等学校、中等教育学校及び高等部を置く特別支援学校(以下「高等学校等」という。)にも選挙権を有する生徒が在籍していることを踏まえ、平成27年10月29日付け文科初第933号「高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について」に基づき、引き続き、高等学校等の生徒が公職選挙法等の法令に違反することがないよう指導し、選挙運動その他の政治的活動について適切に対応するとともに、政治的教養の教育に当たっては、学校の政治的中立性の確保に留意すること。
3 その他
(1)選挙運動等の禁止制限規定に違反する行為は、公務員の服務義務違反として懲戒処分の対象となるばかりでなく、上記2の場合にあっては、処罰(2年若しくは1年以下の禁錮又は30万円以下の罰金、選挙権及び被選挙権の停止)の対象となるものであること。(公職選挙法第239条第1項第1号、第239条の2第1項及び第2項並びに第252条第1項及び第2項)
(2)具体的事例について判断するに当たっては、適宜関係法令や関係判例を参照すること。
(3)ウェブサイト等を利用する方法による選挙運動用文書図画の頒布は公職選挙法においては可能とされているが(公職選挙法第142条の3第1項)、政治的目的をもってなされる行為であって人事院規則14-7第6項各号に掲げる政治的行為に該当するものは国家公務員法において禁止されていること。